個人的にかなりどうでもよくなっていて放置していたが、まあなんとかする。

色々と申し訳ない。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「つーかさ、あんたチンポの人っしょ? キモい軍艦事件の時に暗躍してたっつー」

「え、タムキクさん僕のこと知ってるんですかぁ……? いやあ光栄ってゆーかペニス冥利に尽きるってゆーか……」

「なんか思ってたより普通だよね。見た目チンポなだけじゃん?」

「は、はあ……ありがとうございます?」

 ともすれば差別も偏見もないタムキクの言葉であったが、ペニスーツマンには何故か胸の奥を突かれるような感じがした。

「まあいいや。アンタ何しに来たわけ? 会社か取引先かが性欲オバケになっちゃって仕事になんねーから止めにきたとか?」

「そうッスよ! 知り合いの御庭番衆に頼んで、タムキクさんが『世界に一つだけのマラ』に洗脳コードを仕込んで流してることを突き止めたんですからね! なんでこんなことするんスか!?」

「いやあ……そんなん分かるッショ?」

 頭をがしがしと掻きながら、タムキクは気だるそうに言葉を返した。

「俺が所属してたグループが解散したのは知ってると思うんだけどさ、アレって結局事務所の都合に振り回された結果だと思うのよ。そんで世間を見渡してみれば、まーそんな社畜の多いこと多いこと。だからさあ……もういいんじゃねえかなあって、働くの」

「それ、事務所残ったタムキクさんがやることッスか?」

「俺がやるしかねえだろ。俺が、日本を、本当の姿にするしかねえんだよぉ……」

 タムキクは絞り出すような声をペニスーツマンに向け、天を仰いだ。

「じゃあやっぱ止めるしかないッスね。仕事できないと、会社から金もらえなくなっちゃうんで」

「今のアンタじゃ俺に勝てねえよ。いや、俺達にはね」

 ファイティングポーズを取るペニスーツマンに対し、タムキクはコートの内側からフラスコを4本取り出した。

 それぞれのフラスコには、ドブ色の液体とゴルフボール大の胎児が入っていた。

 

「開演<Overture>――!」

 

 タムキクがフラスコを地面に放って叩き割ると、外気に触れたフラスコ内の胎児は急速に膨張し、人の形へと姿を変えた。

「こ、これは……」

「人脈を駆使して手に入れた生方ハルヒのSex Vagina Anus Penis細胞……SVAP細胞を独自に改造して人造人間の生成に特化させたのがこれだよ。名付けてSex Manko Anus Penis細胞……SMAP細胞だ」

 胎児は成人男性のサイズに達した時点で膨張を膨張を止めた。4人の成人男性の姿はまぎれもなく、かつてタムキクが所属していたグループのメンバーそのものだった。

「ぐ……なんだか知らんがヤバい気がするッ! 『おしっこレーザーカッター』!!」

 危機感からペニスーツマンは先制攻撃の態勢に入った。高圧の尿を頭部から発射する技、『おしっこレーザーカッター』である。

「ちょ、待てよ!」

 タムキクの声が倉庫内に響き渡った。その瞬間、放尿寸前のペニスーツマンの体は岩のように固まった。

 タムキクはゆっくりと歩き出し、ペニスーツマンの体の向きを180度回転させた。

 パチンと指を弾くと、猛烈な尿があらぬ方向に向かって放射された。

「な……!?」

「ありがとね、待ってくれて」

 言うが早いか、猛烈な回し蹴りがペニスーツマンの脇腹に刺さった。勢いそのままにペニスーツマンは無様に地面に転がった。

「な、なにが……」

「俺これでも国民的アイドルだからさ、時間ぐらい止めるよね」

「こ、国民的アイドルは時間を止めるのか……知らなかった……」

「メンバー紹介はまだ始まったばかりだぜ。なあ仲間くん」

 タムキクに促され歩み出たのは、グループメンバーの一人である仲間諌広(なかま・いさひろ)であった。

 仲間は大きく息を吸い込み、大きく口を開いた。

「ボォベガヴィィィィィィィィィィィ!!! ジィンデベヴァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 耳を劈く大音量の衝撃波――もとい歌声がペニスーツマンに向かって発射された。

「ぐうああああああああああ!! か、『カウパーバリア』ァァァ!!」

 ペニスーツマンは咄嗟に頭頂部からカウパー腺液を分泌し、全身に纏った。しかし、抵抗むなしく音の波に飲まれて、壁に強く叩きつけられた。

「だ、ダメだあーー! この世界では特に効果はなく、全身がベタベタになるだけの技だったーーーーー!!」

「次、シンゴ」

 次に歩み出たメンバーは、最年少の上遠野慎豪(かとおの・しんごう)だった。上遠野は拳法のような構えを取った。

「と、とにかく攪乱して様子を見る……『アクセルローション』!」

 ペニスーツマンはスーツからローションを取り出し、全身に纏って勢いよく滑り出した。

 上遠野は刹那の間目を閉じたのち、カッと見開いた。

 次の瞬間、ジグザグに滑り散らしていたペニスーツマンの目前に上遠野が現れた。

「フェイタス、ちんぽにズドン」

 強烈な掌底が亀頭を突き上げた。ペニスーツマンは倉庫の天井と床とを4度バウンドした。

「ぐおお……あ、フェイタス貼られてる……?」

 ペニスーツマンは震える手で亀頭に貼られたフェイタスに触れた。次の瞬間、フェイタスが爆発し、亀頭が燃えた。

「あっちゃちゃちゃちゃ! 亀頭が! カチカチンポ山に!!」

「さすがフェイタス上遠野だよ。ゴローちゃん、GO」

「え、もう次!?」

 悶え苦しむペニスーツマンの前に、男が佇んでいた。メンバーの一人、岩垣ゴローニャ(いわがき・ごろーにゃ)である。

「……クスッ」

 ペニスーツマンを見て、岩垣は優しく微笑んだ。甘いマスクの岩垣が向けるそれはまさに天使の笑顔。見る者すべてを虜にする、優しい世界の開闢――。

「ふ、ふつくしい……」

「まあそれだけなんだけどね。ラスト、ツルぽん」

 笑顔のまま横にはける岩垣、その後方から棒状のお菓子を両手に持った男が走ってきた。

「マン・マン・マンぞく♪ マンマンマンマンコ食う♪」

 軽快な歌声と共に近づいてくるのは、5人目のメンバーである草薙剣(くさなぎ・つるぎ)であった。そして、歌声が大きくなるにつれ、お菓子の形状が変化し始めた。

「いやあゴローちゃんやっぱ可愛……ハッ!」

 岩垣に見とれていたペニスーツマンが気づいたころには、すでに草薙が射程距離まで接近していた。棒状のお菓子は、その形状を古代の神器ーー草那芸剣そのものになっていた。

「ばー」

 気の抜けた声と共に、草薙は草那芸剣を振るった。ヤマトタケルの逸話よろしく、斬撃が波となりペニスーツマンに直撃した。

「うわあおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 『包茎ガード』も間に合わず、ペニスーツマンの全身に裂傷が刻まれる。なす術もなく地面に大の字で倒れ込んだ。

「どーよ? もうお腹いっぱい……いや金玉カラカラと言うべきかな?」

「ぜ、全然うまくない……」

 すでにペニスーツマンは息も絶え絶えであった。このままではあっさり倒されてしまう。おかしい、とペニスーツマンは思った。

「なあチンポの人。アンタ会社から金もらうために来たっつってたけどさ、それじゃ俺に勝てるわけねえんだわ」

「な、なぜ……?」

「それ結局会社のために戦うってことと一緒だろ? つまりアンタは社畜ってわけ。そんで社畜だったら、俺のやってることを根っこから否定することができねえ。だから力が発揮できねえんだ」

 喋りながらタムキク達5人がゆっくりとペニスーツマンに歩み寄る。

「そもそも最初見た時から、アンタ全然覇気なかったしよ。ただの会社員だなって思った。だから負ける気しねーわ」

「た、ただの会社員……」

「うん。だからもう社畜は社畜らしく去勢されてなよ。つるポン」

 タムキクに促され、草薙が剣を振り上げる。自分に向けられた切先を見て、ペニスーツマンはぼんやりと考えた。

(た、確かにタムキクの言う通り、最近の私は普通に仕事しているだけだった……。不夜ニコさんの社内で乱交パーチーが行われていても、ただ驚いているだけだった……。性的な気概がまるで足りてなかった……。タハハ、これが牙を抜かれた虎ならぬちんぽを抜かれた魔羅ってわけか……。いや、ちんぽと魔羅って一緒か……いやしかし……)

「ばー」

 間の抜けた声とともに草薙は剣を振り下ろした。鋭い剣先がぼんやりしているペニスーツマンの海綿体を引き裂く――――

「ハッ!」

 と思われた瞬間、一陣の風がペニスーツマンを連れ去った。

 タムキクらの後方で、何かが地面を擦る音が走った。

 振り向くと、そこには競技用自転車に乗った男が、ペニスーツマンを掴んでいた。

「あ、あなたはもしかして、も……」

「皆まで言わないでください。僕のことはそうですね……まあやっぱりそれっぽく適当に呼んでください」

「み、ミスター・フォレスト……!」

 ペニスーツマンに勝手に名付けられた男……ミスター・フォレストはサングラス越しにニヤリと笑った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

全然終わんねえ。なんでだよ。

次こそなんとかします……。